占星術洋書レヴュー#03 Garry Phillipson"Astrology in the Year Zero"

  • 2017.12.16 Saturday
  • 05:00

ギャリー・フィリプソンのインタヴュー記事の素晴らしさは、占星術雑誌"The Mountain Astrologer"誌収録記事などとして、レヴュアーはいくつも拝読し承知しているのですけども、本書は1996〜2000年の間になされた33のインタヴューが、インタヴューの件数ごとでなく著者が掲げた12のテーマごとにソート分けされ編集がなされたうえで、それらテーマにたいする著者の意見までもが述べられた一冊。

 

表紙をめくってすぐのページに収録された、ヘレン・ハウのレヴュー文(="The Astrological Journal"誌に収録されたもの)にある、「厳密な調査に裏付けられた12のテーマごとの章一つひとつは、あたかもテレビのドキュメンタリー番組のよう」というのは、レヴュアーにとってもしっくりくる秀逸な表現であると考えます。出版はフレアー・パブリケーションズ、すなわち2010年代の欧米占星術を牽引なさっている占星術家の一人、フランク・クリフォード主宰の出版社(2000年刊)。

 

レヴュアーいわく、A・Tマン編著"The Future of Astrology"(Unwin Hyman 1988、レヴュアーamazon.co.jpにてレヴュー済み、「占星術の未来」というテーマについての、14人の占星術家のエッセイを収録)やラファエル・ナサー編著"Under One Sky"(Seven Paws Press 2004、レヴュアーamazon.co.jpでレヴュー済み、一つのネイタル・チャートについての、12人の占星術師のチャート・リーディングを収録)などと同様、列挙された複数の人々の考え方を比較する(=天秤サインにとっての「物事の理解の仕方(=松村潔先生によれば、各サインの数え09゚ がこれを表す)」を象徴する天秤サイン数え09゚ 、複数の巨匠達の作品を横に並べる、アートギャラリーにかけられた三人の巨匠の度数を思い出す)楽しみを有する著書、という意味では本書も同様であり、さしずめ33人のインタヴューが収録されている事を「33人の作品が並べられている」と考えても良いとレヴュアーは考えます。上述通り、本書は上記「巨匠達の作品」ごとに収録されているという形はとっていませんけども(上掲"The Mountain〜"誌などで、インタヴューごとに読むこともレヴュアーとしては大いにお薦めではございます)。

 

上記「アート・ギャラリー」に掲げられた、総勢33名の占星術家はベルナディッド・ブレイディ、ニコラス・キャンピオン、ジェフリー・コーネリアス、ロバート・ハンド、リー・レーマン、グレアム・トービン、ノエル・ティル、ロバート・ゾラーら錚々たるもの。彼らの言葉はもちろん、それらをフィリプソンがどのようにデコレートの上「ギャラリーに掲げ」なさるのか、というのが本書の読みどころでしょう。

 

フィリプソンのインタヴュー記事の秀逸さはロバート・ハンドへのインタヴュー記事を一例として挙げれば、フィリプソンがハンドの著書・雑誌掲載記事など読み得るものは可能な限り目を通し、ハンドから最高の回答を引き出すために最善を尽くしておられるようにレヴュアーには映りました。インタヴューされているハンドはあたかも痒い所にすぐさま手を差し伸べてもらっていることもあってでしょう、答える言葉に躍動感、生々しさがみなぎっていたようにレヴュアーは記憶しています。相手を熟知、とまではゆかずともそれに近いコンディションづくりをなさったうえでインタヴューに臨んでおられるという事ですね(ハンドのように、インタヴューでの(読者からすれば嬉しい)饒舌ぶりが氏の著書での理路整然かつ、平易な(語彙が用いられた)文体と大いなる相違、コントラストをなしている占星術家もいるのを読者は楽しむことができる、というのもあると思います、レヴュアーなどは上記事例によりハンドに対する印象が変わった部分もございます)。

 

本文はフィリプソンならびに回答なさる占星術家、両者のあいだでのやりとりと、インタヴュー以外の著者自身の言葉と、それぞれフォントを変え収録されているので両者を識別し読みやすい、というのもあります。

 

第1章「二種類の驚き("amazement")」は著者のまえがきのような内容。占星術家たちがインタヴューで提示した問題や、様々な意見を正確に読者向けに提示しようと努めてきたし、そうすることで読者が自身なりの結論を思い描くであろうとも考えた、一方著者自身は占星術家たちの発言に対しなんら意見を持たない、などと振る舞えば読者にはぶざまに映るかもしれないとしたうえで、にもかかわらず自身が直面した上記占星術家たちのものの見方一つひとつがいかに強靭なものであるかを読者に提示するには、自身の意見を脇に置く方がより効果的である事、ならびにその理由説明をなさるのです。

 

第2章「占星術に興味を持つこと」は、スコットランドで育ったというクリスティーン・スキナーの、幼少時代のある晩、妖精ブラウニーに連れ添うように父親と一緒に散歩した際、「天体や恒星が地球上の私達に影響を与えると考える人もいるんだ。(長い沈黙)…さっき言ったことはお母さんには内緒だよ」と告げられたエピソードから始まります。スキナーが実際、占星術の世界にどのように入ってゆくのかについては第4章で触れる、と著者は述べ、直後デニス・エルウェルの同じ質問への回答へと注意を移しておられます。

 

インタヴューに答えている占星術家同士は、互いに何を著者から聞かれどう答えたか知る由もないであろうにかかわらず、互いの回答が何かリンクしているように見えるのもおもしろい−これを著者は「ある占星術家の言葉から他の占星術家の言葉へとエコーがなされたよう」と表現なさっていますが、著者のテーマ設定ならびに引用の仕方・繋ぎ方・編集の仕方などが読者にそう映るようにさせ(魅了し)ているというのもあるでしょう。それは一人の占星術家のインタヴュー一本を丸ごと読む(のも上述通り、すばらしいのですけども)のとは別の醍醐味であり、また占星術家なら誰しも考えていそうなテーマなどをも著者が熟知なさっている、というのもあるかもしれません。

 

第5章「個人的は仕事」は、コンサルテーションが有する三つの基本フォーマットが.曠蹈好魁璽廚了ち主の特徴分析("Character analysis")、¬ね萢獣痢↓F団蠅亮遡笋紡个垢訶え、の三つであろう、としたうえで始まります、最初に紹介される回答者はノエル・ティル。ティルの場合上述、ハンドと異なりインタヴューでの話し言葉と著書での文体との間の相違、ギャップは少な目というか、あまり無いようにレヴュアーには映りました。

 

第8章「占星術における疑惑("doubt")」ならびに第12章「占星術とはなにか、科学か魔術か」の二つの章はたとえば運命と自由意思、占星術と宗教・魔術・科学など、占星術に携わっている限り、論争のテーマともなり得る事象に焦点が充てられていますが、欧米の占星術家は占星術家同士のみならず、科学者や宗教家など他職業に携わる人々とディベート、すなわち議論する機会も多いようで、そこで占星術家としての自身の立場をロジカルかつ明確に表明するためにしっかりとした意見を持つ(=結果的に占星術家としての成長にも繋がる)ための緊張がある、とある識者が述べておられた(とレヴュアーは記憶している)のを思い出しました。

占星術洋書レヴュー#02: Robert Hand"Essays on Astrology"

  • 2017.11.18 Saturday
  • 05:00

ロバート・ハンドが占星術雑誌に発表なさった記事、占星術講座でお話しなさった講義を文字起こしした文章など13編がまとめられた一冊でウィットフォード・プレス社より1982年刊。13にわたる「占星術のエッセイ」は多岐にわたります。

 

第1章、最初に収録されたエッセイ(=1972年、すなわちハンド29歳時点での作品)のテーマは月相で、月のサイクルを論じたディーン・ルディアの名著"The Lunation Cycle"(Aurora Press 1967、レヴュアーamazon.co.jpでレヴュー済み)に氏が出会う前に書かれたものなのだそう。

 

この第1章の冒頭、ならびに第8章、人間の成長にかかわる危機が論じられたエッセイ冒頭文章の二つは、あたかもそのルディアが書いた文章(ルディア節!)を読んでいるかのよう。ハンドも1970年代時点で活躍なさっていた多くの占星術家同様、ルディアの影響を大いに受けておられたのだな、と思わず微笑んでしまうほどです。ちなみにハンドはヘルメス・トリスメギストゥス(???〜???、古代ギリシャ時代)に始まる、過去の占星術師達に対する自身のオマージュ動画(2014年)のなかで、19世紀末以降に活躍した占星術師としてはこのルディアにのみオマージュを捧げていました。

 

第3章、水星にかんするエッセイ、ならびに第4章「マレフィック(天体)を巧みに扱う」エッセイは、氏の名著"Horoscope Symbols"(Schiffer 1981、レヴュアーamazon.co.jpでレヴュー済み)でのサイン、天体、アスペクト、ハウスについての深く鋭い洞察の数々が蘇ってくるかのようで、読んでいてぐいぐい引き込まれてしまうほど。たとえばトランシットの土星についての件りでは、それがネイタル・チャートの天体や感受点に対しアスペクトを取る際は「気分が良い」ということはまずない、というのはなるほどもっともであろうし自身もそれを楽しむということはないが、としたうえで、

 

...but I have to acknowledge that growth and knowledge come about through Saturn. Some people enjoy being taught hard lessons, other people don't, but that is not the intrinsic problem with Saturn. The intrinsic problem is that it makes you think that it is real. You lose perspective and any account of where you are. (p.42)

 

(意訳)ですが、成長する事ならびに己れを知る事の二つは土星を通じてやってくる、というのも認めざるをえないでしょう。厳しいレッスンを受けることを楽しむ人もいれば、そうでない人もいます。ですがそれは土星にかんしての本質的な問題ではりません。土星にかんしての本質的な問題はすなわち、受け入れるべき現実がどのようなものであるかがわかるということです。私達は将来の見通しや前途、そして自身の立場の根拠を(一旦は)失うのです。

 

ちなみに氏のネイタル土星は双子サイン数え09゚ にあり、松村潔先生はこの度数を「最も鋭い知性」を表す度数、と呼んでおられますが、PCが普及する以前の段階での占星術ソフトの開発から古典・現代占星術、双方の統合をなし得る数少ない存在と呼ばれる事に至るまで、占星術という巨大な知恵の宝庫において膨大な貢献をなしてこられたハンドは左記、松村潔先生の説を身をもって証明なさっている人物の一人だな、とレヴュアーは常々考えております。

 

第11章は、古代ギリシャ、ヘレニスティック占星術などでおなじみのドデカモリーがテーマ。マーカス・マニリウス(15〜???)、クラウディウス・プトレマイオス(プトレミー、100〜178)、ジュリウス・ファーミカス(285〜360)といった、1970〜1980年代時点で英訳図書で読み得た、古代占星術著者の文章が引用文章として動員され論じられていますが、本書刊行の約10年後、1990年代にはハンド自らラテン語やギリシャ語を学んだうえで上記プトレミー、ヴェッティウス・ヴァレンズ(120〜175)、マシャアラー(740〜815)、グイド・ボナティ(1210〜1296)、ヨハン・ショナー(1477〜1547)など、占星術史に残る「巨人」達が著した原典等文献翻訳に取り組みなさることになろうとは、このエッセイ執筆時点でのハンド自身も思いも寄らなかったかもしれません。

 

第13章、歳差運動についてのエッセイは占星術雑誌"The Mountain Astrologer"2014年10/11月号(第177号)で、約30数年の時を隔てての秀逸な続編"The Precession of the Capricorn Solstice & the Importance of 2017"がリリースされたのが記憶に新しいです。

 

多くの占星術図書、学術図書の引用ならびにそれらに対する氏の考察を読み進めていると、著者が執筆なさっていた1970〜1980年代という時代の占星術界の流れや歴史がうかがえる処も本書ならではの愉しみ、とレヴュアーは思います。

占星術洋書レヴュー#01: Anthony Louis"Horary Astrology Plain & Simple"

  • 2017.10.22 Sunday
  • 05:00

 amazon.co.jpさんの図書レヴュー欄への最後の投稿(=2015年3月)から年月がだいぶ経ちましたが、その間にも占星術図書(洋書)は読み続けてまいりました。

 

 上述期間での既読図書のうち、何冊分かのレヴューをシリーズとして掲げる予定でおりますが、amazon.co.jpさんでのレヴューと異なり、字数などに配慮することなく、ゆるりと書きたいというのがあり、まずは今回ブログのような形になりました。

 

 上記何冊かを含む既読図書レヴューをゆるりでなく、きっちりしたものにまとめる機会があれば、amazon.co.jpさんに投稿したいとも思っています。なお、占星術家の名前表示については敬称略とし、また17世紀以前活躍の占星術家については生没年表記を附しました。

 

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 ホラリー占星術を修得する過程において、読書などによりいにしえの叡智を取り入れ、基本的にはそれらに準じつつも、実践における自身の経験則に対しても正直であろうとする姿勢が前面に押し出された一冊、ルウェリン社より1998年刊。

 

 キャロル・ウィガーズ・Q.H.P.(="Qualifying Horary Practitioner"の略語。故オリヴィア・バークレー主宰ホラリー占星術通信教育修了者、の意)の序言の言葉、「17世紀を振り返り、当時活躍なさったウィリアム・リリーをホラリー占星術の最終的権威と見なす人々もいますが、より未来的な方向へと自らの手を広げていった(branch out)人々もいるのです。アンソニー・ルイス氏は自身の観察を加味することで、いにしえの叡智と新たな要素との間でバランスをとっています(p.xiv)」をまずは引用しておきましょう。

 

 著者アンソニー・ルイスはグイド・ボナティ(1210〜1296)、ウィリアム・リリー(1602〜1681)、マーク・エドモンド・ジョーンズ、アイヴィー・ゴールドスタイン・ジェイコブソン、ジョアン・マクエヴァース、オリヴィア・バークレーなどの、20世紀末時点で入手可能なホラリー図書の多くを読破なさったうえで、自身の実践(=上記先達図書に書かれた数多くの叡智、一つひとつの検証作業でもある。ホラリー占星術の権威、と呼ばれる先達同士のあいだで手法、意見に矛盾がある場合、いずれの意見を取るべきか、ハウス・システムはいずれを用いるか、トランスサタニアン天体の扱いはどうするか…など)上での経験をも踏まえ執筆なさっているので、本書はいにしえの叡智やルールの羅列のみでは決してない一冊、といえるでしょう。

 

また、自身にとってしっくり来るホラリー・チャートの読み方へと至るプロセス、試行錯誤、あるいはこうすべきであったなどの反省などをそのまま私達読者に伝えている部分も多く、いわば自身にふさわしいホラリー占星術に至る過程が描かれた実録書、みたいな趣きもある(著者は日々、「ホラリー・ノート」なるものをつけておられるそうです)とレヴュアーは考えます。たとえば第14章「具体事例の雑録(potpourri)」では、著者自身が正しい回答を導き出したものとそうでないもの、双方の事例18編が紹介されており、レヴュアーにとっては特に読み応えのある章となっています。

 

 本文は全15章、239ページから成り、ホラリー占星術の基本概念、ラディカル・チャートとはなにか、エッセンシャル・ディグニティ、アルムーテン、クリティカル・ディグリー、恒星、アラビック・パーツ(ロット)、ソルスタイス・ポインツ(アンティシオン)、失せ物探し、58のチャートを用いてのケース・スタディなどが詳述されており、ホラリー占星術の基本的情報はこれらによりほぼ網羅されている、といえるでしょう。

 

 まとめの最終章、第15章では、お薦めのホラリー図書、ホラリー占星術ならびに古代から伝わる(ancient tradition)世界観を理解するうえで重要な占星術師(の図書)を挙げたうえで、以下の言葉を綴っています。

 

 As you read horary texts, including this one, never take the authority of the author at face value. Test the horary rules for yourself and use only those that provide consistent and reliable results. The proof of the pudding is always in the eating.(p.237)

 

 (意訳)本書を含め、ホラリー占星術関連図書を読む際は、著者が言っていることを額面通りに捉え鵜呑みにするべきではありません。それらルールなどを自ら実践を以て試み、自身にとって首尾一貫してしっくりくる、信用のおける(占断)結果をもたらしてくれるものだけを用いましょう。それがプリンである、という証拠は、実際それを食べる過程において、でしかわからないのです(レヴュアーいわく、最後のプリン云々の一文は、「論より証拠」を表す欧米のことわざだそうです)。

Youtube動画、チャート・リーディング更新しました(#26)

  • 2017.08.19 Saturday
  • 05:00

 おはようございます、倉本和朋です。

 

 Youtube動画、チャート・リーディング更新しました。

 

 戦国時代から安土桃山時代にかけての武将・戦国大名、江戸幕府初代征夷大将軍の徳川家康出生図です、24分32秒です。

 

 youtube動画、チャート・リーディングはしばらくお休みといたします、再開時期は未定です、どうぞよろしくお願いいたします。

Youtube動画、チャート・リーディング更新しました(#25)

  • 2017.08.12 Saturday
  • 05:00

 おはようございます、倉本和朋です。

 

 Youtube動画、チャート・リーディング更新しました。

 

 戦国時代の武将、甲斐の守護大名・戦国大名の武田信玄出生図です、22分41秒です。

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